読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

斎藤はどこへ行った

ベリベリエモーショナルOL一年目(元大衆大学へっぽこ心理学部生)

キモい私は、初めてできたキモい異性の友人とキモい関係になってしまい、それが嫌になってブッチした

結構身勝手な話します。当人含め、読んで不快になる方もいるかもしれない。一応ボカシはいれている。

 
小学生以来、異性の友達がいなかった。中学では部活の男子と、業務連絡または自虐ネタでしか絡めなかった典型的喪女だったし、高校もそんな感じ。男子なんか女子の顔しか見てないし!てか何話したらいいかわかんない!でも彼氏欲しい!彼氏がいるっていうステータスがほしい!だってみんないるから!私がみんなより劣ってるなんてありえない!
と思春期は激しくこじらせていたから、いない歴=年齢、男友達0っていうのは無理もない話だった。
 
話を戻す。
 
その人は、半年前からやってるバイトで知り合った。25歳、5つ上の社員。5つ上だから結構大人かと思いきや、どう贔屓目に見ても中学生にしか見えないような人だった。いつもダボダボのよくわからんズボンにダイエーで買ったような安っぽいスニーカーをはいて、キン肉マンがプリントされた紺の肩掛けカバンに、らんま1/2のキャラクターTシャツ。
決してイケメンではないし、フツメンかと言われても、正直首をひねってしまう。というのも、青髭で剃り残しがあって、ニキビも結構あって、ほっぺがブラマヨのヒーハーしてない方みたいなかんじだったから。清潔感とか、皆無。まじで肌がクレーターだった。だから、彼への第一印象はあんまりよくなかった。なんか不潔なダサい人いるなっていうのが、やっぱ正直なところだった。
 
バイト先は超絶ブラックの飲食で、新卒社員が3年未満で半分以上やめてくような、はちゃめちゃな企業だった(notすき家)から、その人も漏れなく社畜してた。私がシフト入ってるところは必ずその人がいた。当たり前だ、この店舗に社員はその人しかいない。
一ヶ月半無休で通し勤務(早朝の開店準備〜閉店まで)。クーラのきかない灼熱の厨房。切りすぎて漆黒のタイムカード。一人で行う終わらない閉め作業。私土日の早朝〜昼ピーク過ぎまでしか入ってなかったけど、しんどくて大変そうだなってのは見ててわかったし気の毒だった。でもそれ以上でも以下でもない。ただただ気の毒だな、と。それだけだった。
 
気の毒な人から気の合う人、そしてゆくゆくは男友達兼彼氏候補(笑)に変わっていったのだが、気の合う人に変わった転機はかれこれ3〜4ヶ月前くらいだった。
きっかけとかあんまり覚えてないけど、雑談してて、なんか読書の趣味が合ったかなんか?だった気がする。それから何気なく小説書いてたっていう黒歴史を向こうが話してきて、私にももれなくその黒歴史があって、とトントン拍子に共通項が見つかっていった。
前々からおしゃべりが好きな人とは知ってたけど、打ち解けてみると話がすっごく面白い人だった。し、結構友達も多いおしゃべり好きの、人好きな性格みたいだった。お笑い好き、お互い片方の親を病気で亡くしてる、読書好き、文章書くの好き、哲学的なこと考えるの好き。共通点はそれなりにあって、会話は弾んだ。そのノリで、バイト終わりに2人でラーメン食べに行ったり、その人の休みに回転寿司行ったりした。男と2人で行くのはどれも初めての体験だった。
それでも話足りなくて深夜、LINE電話で人生の意味とは、だとか、人と人はなぜ分かり合えないのか、みたいな、先人たちに使い古された議題から、さも新発見みたいな意見をお互い披露しあって、酔いしれたりしてた。3時間くらい。暇かよ。
 
気がつけば知らず知らずのうちに依存をしていって、私は自分のことや自分の周りのことをあの人に何でも話すようになった。多分これがいけなかったんだと思う。関係性の腐敗はここから始まっていった。
友達のこと、初恋のこと、大学のこと、家のこと、今食べてるカフェのランチのこと。
女子大生のくそつまらん定期botにもその人はいちいち反応し、返信をした。だいたいはラノベみたいなくどくどした長文だった。つまんなかった。けど必ず反応してくれたから、暇つぶしにはうってつけだった。なによりも、構われてるっていう優越感が、承認欲求の塊にとってはたまらなかった。
 
あの人のすごい?ていうか、今思えばそれがすごくキモくて嫌だったんだけど、あの人は私が一度会話で言ったことは全部覚えた。私の大学の授業の週間スケジュール、高校の頃の親友の名前、部活の顧問の先生の名前、母親の名前・誕生日、弟の名前・修学旅行先、大学の友達の名前・出身地・それぞれの所属サークル、Twitterでしか言ってない通ってる教習場の名前。一度言えばあの人は全部引き出しの中に入れて、次回の会話でうやうやしくその情報を取り出して使ってきた。ここで察すればよかったのだが、何をとち狂ったか、私はその人の関心を引く自分という自己像に酔いしれていた。プチ女王様気分である。Twitterをフォローしあってたから、友達との写メを更新すれば可愛い可愛いとLINEが来た。今思えばキモい。
 
でも喪女は異性からの可愛いに飢えていたので、すっかり気を良くして向こうのLINEに写メを送ったりもした。もうこうなってくると、被害者も加害者もいない泥沼状態である。私は生まれて初めての家族以外からの姫扱い?に上機嫌だった。
不潔だけど、ここまでアタシが好きなら別に付き合ってもイイカモ!向こうから言ってくれればネ☆!つくづく馬鹿で、愚かだ。
 
派手にこんなんずっとやってると、まぁ話は広まるわけで。というか、向こうは結構周りに話をしていたらしい。そのうち、パートの主婦さんから付き合ってる認定みたいなのされた。実際告られてはなかった。し、この後も告られることはなかったのだが、私は、も〜やめてください☆と言いつつ、当時若干満更でもなかった。おそらく私は、少女漫画やアニメの世界だけだと思ってたそのセリフを言えたことに、少なからず興奮していた。言ってる自分に酔いしれてたのだ。冒頭で述べたとおりあの人を不潔なダサい人と断じていたくせに、それを忘れて、いい気なもんである。
 
でもやっぱり、どんなに承認欲求を満たしてくれても、どんなに姫扱いしてくれても、どんなに暇つぶししてくれても、どんなに可愛い可愛いと言われても、結局それは「そう言ってくれる人」であるから魅力的でイイカモ☆!と思えるのであって、断じて「あの人」自体に魅力を感じていたわけではなかったのだと思う。ここが私の最大のギルティポイントであり、キモさの根源だ。
最初は確かに、純粋な楽しさと純粋な友情があった。でも私の勘違いと姫願望という奇行に影響され、おそらく馬鹿な女子大生あわよくば手篭めにしたいモードに入ってしまったあの人は、いつの間にか全くおしゃべりがつまらない、メンヘラな私の機嫌をとるだけのイエスマンと成り果てていた。
 
気がつくとあの人は、私が友達の愚痴を言えば、友達を悪く言うことなく、でも私の苛立ちに共感してくれるようになっていた。例のボランティアの彼がLINE返してくれないと言えば、こうしたらいいんじゃないか君は魅力的だから大丈夫とアドバイスをくれた。バイトで年上のフリーターの後輩にイビラれたと言えば、憤って共に怒ってくれた。
でも私は、あの人から今日のお昼はこれ食べてると食べかけのカップ焼きそばの画像が送られてきても、就業後の夜食のポテチの画像が送られてきても、なんかよくわからん私の浴衣姿可愛いというポエムが送られてきても、全部返しは一緒だった。「ははは」3文字。以上。ゆがんだ気持ち悪い関係性の誕生である。
 
自分とあの人のキモさ、何よりこの関係性へのキモさに気がついたのは、例の慶應ボーイと音信不通になって、しばらく経ってからである。
1日授業のないOFFである水曜日に時間ある?とランチに誘われて、ご飯を割り勘で済ませた後、目黒川を2人で散歩しているときだった。桜が散り切った並木、青々した美しい新緑の木漏れ日の下で、隣を歩くふと彼の横顔を見たときに、私は、「あ、この人といても楽しくないし、なんか気持ち悪いなあ」と気が付いた。
 
思えば、ずっとフタをしていた感情だった。あの人が「お疲れ様でし」と言うたびに、顎を引いた上目遣いで「ねっ!」とこちらにお伺いを立ててくるたびに、パステルオレンジとエメラルドグリーンの布が継ぎ接ぎで組み合わされた不思議なシャツにボロボロでぶかぶかなカーゴパンツはいて、改札の雑踏からこちらに近づいてくるのを見た時に。それはいつだって浮かんできた。それを、気がつかないふりをしていただけだった。
「この人」から目をそらして、「彼氏みたいな人」「自分の思い通りになる人」「自分を祭り上げてくれる人」としかこの人を見ていなかったから、気がつけなかった感情だった。振り返れば、気の合う人から彼氏候補☆になった時に、もうとっくにこの人とは楽しい時間は過ごせてはいなかったのだ。歪んだ死に体。ゾンビみたいな関係になっていたのだ。それを自分の承認欲求と姫願望を満たすために飼い殺して、繋ぎとめておいただけだったのだ。自分のキモさと愚かさを私は彼のクレーターみたいな頬に見つけた気がした。
 
それからは、自業自得とはいえ苦痛だった。バイトであの人が休憩中わざわざ隣に来て自身の武勇伝を話しかけてくるたび、「◯◯(私)ちゃんのTwitter盛り上がってるね、俺は入れないけど、ちゃんと見てるよ」と個人LINEしてくるたび、これまでと同じように、何かあると顎を引いて上目遣いで伺うようにこちらを見てくるたび、バイト中に他の人と雑談が盛り上がるとその日のうちに「嫉妬しちゃうな」とLINEしてくるたび、本当に気持ち悪くて気持ち悪くて気持ち悪くて気持ち悪くて、気持ち悪くて仕方がなかった。
 
精神的に辛くてどうしたもんかとおもっていた折、朗報が届いた。先月いっぱいで退職をするとのことだった。息子を見かねた親からの強い意向もあって、秋入社で親のコネで転職するらしい。
私は心底ホッとして、もうこれで終われると思って、パートさん達から任命された送別プレゼント係の仕事を全うし、門出を祝うことにした。あの人の最後の勤務日、全力の作り笑顔で花束とプレゼントを渡して帰宅すると、あっちは勤務中にもかかわらず向こうからLINEがきていた。「最近、◯◯ちゃんすごく冷たいなと思ってます。もうこれで俺たちは会えないですが、これからもお友達でいてくれますか?あと、よかったら俺の転職祝いと◯◯ちゃんの免許取得祝いも兼ねて、旅行でも行きましょう。行ったことないんだけど、俺海外とか行ってみたいんだよね」
 
私はスマホを投げ出した。
色々な考えが頭を巡って駆け抜けた。
 
(友達、というものは「いてくれるか?」なんてお伺いをたてるようなものではない。それをした瞬間に「媚びる側」と「られる側」に別れ、上下関係がうまれるだろう。果たしてそれは友情なのか?私はそうは思わない。)
(そうまでして、媚びてまで、私を繋ぎ止めてどうしようというのか。今更、あなたからどんなおしゃれフレンチを奢られようとも、華奢で可愛いアクセサリーでも送られようとも、私はあなたの隣にいる時はゾンビみたいな顔しかできない。そこまでして共にいて、互いになんの得がある?)
(だいたい、この人はどんだけ面倒くさいんだ、告白もしてないのに。付き合ってもないのに。告白する度胸も自然消滅を受け入れる器もないのかよ。てか旅行って。行きたいなら1人で行ってよ、男なんだし。女々しすぎだろ重すぎる気持ち悪い)
 
考えれば考えるほど、本当に気持ち悪くて気持ち悪くて気持ち悪くて気持ち悪くなったので、TwitterとLINEを即刻ブロックした。
 
 
 
 
今日ふと思い出して、ああ私もあの人も気持ち悪かったなあと自己嫌悪して、家にあった赤ワイン一気して、今これ書いた。
 
もう男友達☆はこりごりです。喪女には敷居が高すぎました。互いに呪いしか生み出せなかった。非生産的。ああ、本当に気持ち悪い。