斎藤はどこへ行った

ベリベリエモーショナルOL2年目(元大衆大学へっぽこ心理学部生)

二子新地駅徒歩13分築19年2K家賃8万2階建てアパートの一室で金曜夜22時に飲みほすちょっとぬるいアサヒスーパードライ500mlの味

いつか訪れてほしい、自分にとっての「幸福」の話をする。

 

その「幸福」というやつは、おそらく凡庸で垢抜けなくてすり減っていくだけの暮らしの中にある。

私は社会人5年目で、そんなに仕事が「デキる」わけではなくて、得意先への応対はだいぶマシにできるようになってきたけど、まだ業界とか商材の知識は完璧なわけでもなくて、でもそろそろ「労働市場における自分の価値の低さ」に焦りを覚え始めていて、「なんか資格とらなきゃなーーーーー」なんて思いながら毎日田園都市線に揺られながら1時間かけて出勤して、働いて、月に20~40時間くらいは残業をして、疲れたなーーーってなって帰宅するっていう暮らしをずっと送っている。

 

残業時間の長さにもよるけど、月の手取りは15万からよくて17万くらい。そこから携帯代1万引いて家賃代の4万引くと残り10万~12万くらい。そのお金をどうにかやりくりしてごまかしごまかし月初から給料日までをしのいでいる。

 

1Kなら会社から半額家賃補助がでてハッピーハッピーなのに、なんで2Kのアパートに住むのかというと、なんと、一緒に暮らす人がいるからである。なんと、それは、今お付き合いをしている人である。

冒頭の「いつか訪れてほしい」というふんわりワードにたがわぬふんわりドリーマー脳であることは重々わかっているが、これは「わたしのかんがえたさいきょうのゆめ」の話だからきにしない。し、続けます。

 

話を戻す。

 

なんせ私はわりとしょっぱめの給料しか稼げないので、生活はまあまあキツキツだ。

水道光熱費8000円と日用品などの雑費3000円インターネット利用代5000円は二人で折半。食事はできるだけ自炊にしようねといいつつもなかなか作れてはいない。朝は問答無用で日曜日にまとめて炊いて保管しておいた冷凍ご飯をチンして納豆ご飯にして食べて、昼は気力で毎日会社におにぎりを作ってもっていくけど、夜はスーパーの総菜に頼る日々なので、なんだかんだ月3万くらいかかってしまう。

なので、毎月2万3000円の生活費を出しながら、「これ一人暮らしだったらどうなってたんだよコエ―――――よ」と内心びくつき、仮に同居が解消されたら金銭面的におとなしく実家に出戻るしかないなあなんてことを、26歳の私はいつもいつも考えている。

 

残りの7万も消えるのはあっけない。

まずそのうちの3万はいざという時の出費に備えて貯金に回す。すると残りは4万円。

付き合いで3000~5000円の食事や飲み会に2・3回顔を出す。すると残りは2万円。

 

 

その2万円はたいてい毎月

①化粧品一点(~3000円)買い足し

②そのシーズンの服を一着買う(~7000円)

③美容院で髪をカットする(~5000円)

④ちょっとおいしいごはん(~5000円)を彼と食べに行く

 

くらいしたら簡単になくなってしまう。

 

ふとした時に開くSNSでは、就活で上手いこといった同級生の余裕に溢れたゴリゴリの可分所得エリートたちによる華々しい圧倒的貴族な生活であふれていて、馴染みのない高級店のディナーだとか、すんげーファビュラスなアクセサリーつけてお洋服をきこなす垢抜けた笑顔だとか、有給で行った海外旅行の写真が回転ずしみたいに流れては消えて、また流れてくる。

 

「これが圧倒的上級国民・・・・・・経済を回す側の人間たち・・・・っ!!!」

 

キラキラ輝く圧倒的貴族の方々は、圧倒的財力によって「大人をきちんと履修」していて、外食と言えば餃子の王将、アクセサリーは7年前に友達から誕生日にもらったマリクワのネックレス一択、服はセールで買ったVIS、旅行は数年に一回国内2泊3日のにんげんである私は「園庭ですずらん組のみんなが軽々とうんていをこなすのに、自分一人だけできずにただ立たずむしかなかった幼稚園のおひるやすみ」よろしく毎度途方にくれてしょんぼりしてしまう。

 

 

 

そんなある月の第四金曜日、月末で忙しくいつもより遅めに帰宅。速攻ジャージに着替えて化粧を落とし、ご飯食べようかなーって買ってきたSEIYUのおつとめ品の酢豚のタッパを開けようとするけどなんかだるくて、無印良品で買ったベットでゴロゴロしながらスマホいじってSNSのぞいたら気持ちがしょんぼりしてきて、えーーーんとなってたら、タイミングよく彼が帰ってくる。(何度も言いますがこれは私の「ゆめのはなし」です)

 

おかえりーつかれたねえってお互い言って、そしたら彼の手にレジ袋が下がってるのが見えて、「LINEみた?酢豚かってきたよ。ご飯まだチンしてないごめん、ご飯食べよう、おなかすいてる?」っていうと、「おなかすいた」って返ってきて、そっかーって言うと、「ビール買ってきたよ」って袋からサッポロの500ml缶とアサヒスーパードライ500ml缶を出される。

 

「わーーーーーーーーーーい」って私は喜んで、アサヒスーパードライを手に取って、彼のお気に入りのかわいい15オンスタンブラーに注いで、でも私は注ぐのが苦手で泡まみれになって全部を注ぎきることができなくて、しょうがないなーという顔をされて、バツの悪さを感じながら、ビールを飲む。

 

駅前のSEIYUから家まで歩いてくる間にビールはすこしぬるくなってて、ぬるいねーといいながら、なんだかんだいっておいしいなあと思いながら、ビールを飲む。

 

多分私は、それでも生きていていいんだなあって思いながらビール飲んで、飲み干して、「あー多分これが私にとっての幸福なんだろうなーーー」って思いながら、にこにこする。

 

 

大人になりきれなくて、向上心も能力もさほどなくて、お金を稼げる側の人間ではなくて、何者でもない私にとって、それがいつか訪れてほしい、「私にとっての幸福」である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(三行まとめ)

とりあえず

新社会人になったら

仕事と納税と貯金を頑張りたいです。